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シミュレーショニズム

Simulationism

広告やメディアをとおして周知されたヴィジュアルや、誰もが知っている名画など既存のイメージを、自覚的に作品に取り入れ大胆に変換させる、ポスト・モダニズムを代表する美術動向。1980年代、ニューヨークを中心に流行した。複製技術と情報化が極度に進行した80年代の高度消費社会を批評的に捉える一方、モダニズムが絶対視してきた唯一無二のオリジナルの価値を問い返そうとする意図から、この表現形態を用いる作品が量産された。ジャン・ボードリヤールによるシミュラークル理論をはじめとする、フランスのポスト構造主義哲学を理論的根拠とする。「盗用」を意味するアプロプリエ―ションは、技法全般にも用いられるが、既存のイメージを引用や転用にとどまらず、より戦略的に作品に取り込もうという、シミュレーショニズムの核心的概念である。代表的な技法に、サンプリング、カットアップ、リミックスがある。映画を彷彿させる一場面を自作自演で撮影したシンディ・シャーマンや、有名な写真作品を複写したシェリー・レヴィン、マールボロのポスターを複写したリチャード・プリンスなどが代表作家に挙げられる。日本でも80年代後半から注目が集まり、美術評論家、椹木野衣は『シミュレーショニズム ハウス・ミュージックと盗用芸術』を出版し、この動向を牽引した。

著者: 田中由紀子

参考文献

  • 『シミュレーショニズム ハウス・ミュージックと盗用芸術』, 椹木野衣, 洋泉社, 1991
  • 『美術になにが起こったか 1991-2006』, 椹木野衣, 国書刊行会, 2006
  • 『シミュラークルとシミュレーション』, ジャン・ボードリヤール(竹原あき子訳), 法政大学出版局, 1984

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