2017年07月15日号
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セルフ・ポートレイト

Self Portrait

セルフ・ポートレイトとは、写真家自身を写した写真、自写像を意味する。最初期のセルフ・ポートレイトとして、イポリット・バヤール(1801-1887)による《溺死者に扮したセルフ・ポートレイト》(1840)が知られている。写真術の発明者として政府に認められたダゲールに対して、同時期に写真術の開発に勤しんだ多くの科学者・写真家の成果は報われずに終わった。そうしたひとりであるバヤールは、政府に認められなかったことで自殺した不運な発明家として、自らの姿を写真におさめた。世界初のセルフ・ポートレイトは、コンストラクティッド・フォト(ステージド・フォト)であっただけでなく、死者としての姿を写した写真でもあったのだ。その後、写真が社会に普及するにつれ、写真家たちはさまざまな方法で自らの姿を写真に残してきた。とりわけ戦後、1980年代に、現代美術の領域においてセルフ・ポートレイトという表現は注目を浴びた。近年ではセルフ・ポートレイトの手法も多様化し、写真家の内面に迫り自己同一性を問うものから、社会に蔓延するステレオタイプの批判的な再構成、名画や著名な写真の再現、テキストや映像など異なるメディアとの組み合わせなど、写真という枠組みにとどまらず、自己像をめぐる表現は拡張し続けている。

著者: 遠藤みゆき

参考文献

  • 『私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト』, , , 東京都写真美術館, 1991
  • 『カメラアイ──写真家たちのセルフポートレイト』, , ロバート・A・ソビエゼク、デボラ・イルマス他, 淡交社, 1995

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