2017年12月15日号
次回1月15日更新予定

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デペイズマン

Dépaysement(仏)

「人を異なった生活環境に置くこと」、転じて「居心地の悪さ、違和感;生活環境の変化、気分転換」を意味するフランス語。美術用語としては、あるものを本来あるコンテクストから別の場所へ移し、異和を生じさせるシュルレアリスムの方法概念を指す。ロートレアモンの『マルドロールの歌』(1869)における「ミシンと蝙蝠傘との解剖台の上での偶然の出会い」はこの概念を具体的に説明する常套句だが、この一句がシュルレアリスムの登場から半世紀以上も前の文献から採られていることに象徴的なように、異和によって新しさを生起させる手法はシュルレアリスムのみに留まるものではない。例えばブルトンの『シュルレアリスム第一宣言』とほぼ同時期にロシア・フォルマリズムのシクロフスキーが詩的言語を解説するのに用いた「オストラニェーニエ」(異化、非日常化)はデペイズマンの理念ときわめて近い。とりわけこのタームにふさわしい作品を発表したのがデ・キリコ、M・エルンスト、マグリットらである。

著者: 成相肇

参考文献

  • 『マルドロールの歌』, , ロートレアモン, 現代思潮新社, 1974
  • 『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』, , アンドレ ブルトン, 岩波文庫, 1992
  • 『散文の論理』, , ヴィクトル・シクロフスキー、水野忠夫訳, せりか書房, 1971

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