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モンドリアン・ルック

Mondorian Look

イヴ・サンローランが1965年に発表したミニドレス。オランダの抽象画家ピエト・モンドリアンの作品に着想を得てデザインされたこの服は、白地のシンプルなワンピースが黒の水平線と垂直線で分割され、そこに三原色が大胆に配されていた。モンドリアンの作品は形態の単純化の末に実現されたものであったが、サンローランは極限まで装飾的な要素をそぎ落とすことで、絵画の造形原理を衣服に移すことに成功した。モンドリアン・ルックは、現代アートをファッションに取り入れた初の試みとして注目を集め、サンローランの名を世界的に高めた。この服が発表された60年代には、戦後のベビーブーム世代の若者たちの登場により、既製服産業が急速に台頭し、ストリートから新しい流行が生まれるようになる。こうした時代の空気を敏感に読みとったサンローランは、モンドリアン・ルックを発表した翌年、プレタポルテ(高級既製服)の店をパリ左岸に開く。以後、サンローランは、もともと右岸に開いていた店で伝統的なオートクチュール(高級仕立服)、新しい左岸の店で若々しい感覚に溢れるプレタポルテを展開し、両者でバランスを取りながら上質で刺激的なファッションを次々に発表するようになる。「明日のドレス」とも称されたモンドリアン・ルックは、したがって、ファッションが伝統的なオートクチュールの権威から解き放たれ、新しい地平で生み出される時代が訪れることを高らかに告げたとも言えるだろう。

著者: 朝倉三枝

参考文献

  • 『モンドリアン』, H・L・C・ヤッフェ(乾由明訳), 美術出版社, 1971
  • 「イヴ・サンローラン モードの革新と栄光」展カタログ, セゾン美術館, 1990
  • Yves Saint Lautrent(exh.cat.), Editions de la Martinière, 2010

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