2018年07月15日号
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不条理演劇

Theatre of the Absurd

人生の不合理性や無意味さをテーマにした演劇。おもに1950-60年代に活躍した劇作家サミュエル・ベケット、アルチュール・アダモフ、ウジェーヌ・イヨネスコ、ジャン・ジュネ、ハロルド・ピンターらの演劇を指す。代表的作品にベケット作《ゴドーを待ちながら》が挙げられる。評論家マルティン・エスリンは『不条理演劇』(1961)のなかで、不条理演劇は人間の条件の不合理性・無意味さを内容とする点でサルトルやカミュの実存主義的な演劇と問題を共有している面があるものの、実存主義演劇がそうした新しい内容を古い習慣のなかで合理的な形式を通して上演するのに対して、不条理演劇は形式と内容の統一を目指している点で異なるとしている。すなわち、不条理演劇は人間の条件の不条理性を議論しようとはせずに、むしろその不条理的状態を具体的に舞台の上に提示するのである。またベルギーの劇作家ミシェル・ド・ゲルドロードのような詩的アヴァンギャルド演劇とも異なり、不条理演劇は反文学的であり、言葉を詩的に用いるというよりも、舞台上で起こる出来事が登場人物によって語られた言葉を飛び越えたり矛盾したりする状況を企てる。もともとはフランスの劇作家に多く見られる手法だったが、50年代後半には世界的な運動となり、日本においても、別役実をはじめ多くの作家たちに影響を与えた。

著者: 木村覚

参考文献

  • The Theatre of Absurd, Martin Esslin, Vintage, 2001(原著1968)

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