2017年09月15日号
次回10月2日更新予定

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個人映画

Private Film

作家個人の撮影・編集によって制作された非商業的な映画を指し、日本国内では60年代末頃から多く使用された用語である。日本では9.5ミリや8ミリフィルムを使用したアマチュアによる小型映画の系譜は戦前から存在していた。しかし「個人映画」という用語が使用される場合は、小型映画の系譜とは別に、66年の草月アートセンターによる実験映画・アンダーグラウンド映画の紹介を経て制作された、個人が主体となる映画を指して使われる場合がほとんどであり、実質的には実験映画・アンダーグラウンド映画と呼ばれる映画の別称である。このような、個人によって制作された非商業的な映画は、いわゆる独立プロダクションによるインディペンデント映画や、家庭内でのホームムーヴィーとは、そのコンテクストを大きく異にすることに注意が必要である。この用語の背景には、商業映画の産業化した製作プロセスに反対して、個人の主体的な自立を求める意図があり、映画制作を作家の内面的な問題意識の反映として捉えることが求められている。それは60年代末の日本国内における社会的状況や、カウンター・カルチャーの動向を反映するものであったといえる。日記映画がひとつの映画的手法であるのに対して、個人映画は手法にかかわらず個人で制作された小型の映画全てを指すものであり、日記映画を含んだ、より包括的な用語である。70−80年代にかけては、きわめて多様な個人映画作家が輩出され、日本各地に作家を主体とした上映グループが設立された。個人によって制作されるため、資金的な条件から多くの場合は8ミリや16ミリフィルムが使用される。90年代以降は利便性からヴィデオによる作品も多く制作されており、その場合は「個人映像」とも呼ばれる。

著者: 阪本裕文

参考文献

  • 『芸術倶楽部』No.9, 特集=個人映画, フィルムアート社, 1974
  • 『フィルム・メーキング 個人映画制作入門』, ほしのあきら, フィルムアート社, 1975
  • 『スーパー・アヴァンギャルド映像術 個人映画からメディア・アートまで』, 佐藤博昭、西村智弘編, フィルムアート社, 2002
  • 『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』, 金子遊編, アーツ・アンド・クラフツ, 2011

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