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立体映画

3D film

立体映画ないし3D映画とは、左右の眼にそれぞれ両目の間隔分ずれた映像を見せることで立体的な印象をもたらす映画を指す。2000年代半ば以降大きなブームを迎えている3D映画だが、その歴史は古い。両眼立体視の原理は、1838年にイギリスの物理学者チャールズ・ホイートストンによって発表され、すぐさま写真や動きの錯覚をもたらす視覚装置に応用されていった(ジュール・デュボスクのビオスコープやエミール・レイノーのステレオ・プラキシノスコープなど)。立体映画の構想は映画の発明当初からすでに存在しており、ジョルジュ・メリエスは意図せず映画史上初の3Dカメラを開発していた。初期の立体映画は2色のフィルターを通して見るアナグリフ方式で(これは19世紀半ばから幻灯上映で用いられていた)、ルイ・リュミエールも1935年に同方式を改良した3D映画を考案している(『ラ・シオタ駅への列車の到着』の3Dリメイクもなされた)。しかしアナグリフ方式はモノクロに限られ、カラーの3D映画は偏光方式の登場を待たねばならなかった。偏光の仕組みは19世紀から知られており、1930年代にはエドウィン・H・ランドが偏光フィルターを発明、ポラロイド社を設立した。またロシアでは裸眼立体視が発展するなど、各地でさまざまな規格が探求された。映画産業はしばしば減少する観客をつなぎとめるための手段として3D映画に着目してきた。1950年代前半には、急速に普及しつつあったTVへの対抗策として3D映画ブームが到来し、アルフレッド・ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』(1954)をはじめ、多彩なジャンルの作品がつくられた。1980年代初頭に二度目のブームを迎えた後、3D映画はテーマパークや博覧会のアトラクションとして定着。2000年代半ば以降は、ホームシアターの普及への対抗やデジタル映画の普及促進のため再び注目を集め、三度目のブームを迎えている[ジェームズ・キャメロンの『アバター』(2009)など]。現在では円偏光方式や波長分割方式、シャッター方式などが用いられ、2D/3D変換技術によって新旧作の3D化も行われている。

著者: 角井誠

参考文献

  • 『3D世紀 驚異!立体映像の100年と映像新世紀』, , 大口孝之+谷島正之+灰原光晴, ボーンデジタル, 2012
  • 『NFCニューズレター』第98号+第99号, 「3D映画小史」, シュテファン・ドレスラー(足立ラーベ加代訳), 東京国立近代美術館フィルムセンター, 2011

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