2017年12月15日号
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美術大学

College of Arts

美術大学とは、美術・デザイン・建築など、視覚芸術・造形芸術に特化した教育を行なう大学である。日本の美術大学の多くは美術学部のみの単科大学であり、音楽学部を併設する場合は芸術大学と呼ぶのが通例である。世界中に存在する美術大学の起源は、1563年に設立されたフィレンツェの素描アカデミーである。これに倣ってヨーロッパ各都市に設立された美術アカデミーは、芸術家を育成するために傘下に美術学校を設立した。特にパリのエコール・デ・ボザールは世界中の美術学校のモデルとなり、19世紀にはヨーロッパを越えて南北アメリカ大陸やアジアにもその亜流が誕生した。その成立経緯や教育機関としての特性から、美術大学は本質的にアカデミックで保守的な立場にあり、教育内容が最先端の流行から遅れているとしばしば批判される。その一方で、ともに美術家を志す若者同士の人脈を築く場であり、同時に制作環境を提供している点で、重要な役割を担っている。日本では、1876年に明治政府が設立した工部美術学校が最初の美術学校であり、今日では東京芸術大学、京都市立芸術大学、多摩美術大学、武蔵野美術大学など、公立・私立あわせて約30の芸術・美術大学が存在する。これらの大学は、ファインアート分野では国公立大学の人気が高く、グラフィック・デザインやプロダクト・デザインでは私立大学の人気が高いなど、ある程度の棲み分けができている。美術大学はいずれも高い人気を誇り、東京芸大の油画専攻やデザイン科などは30倍を超える入試倍率になるときもあるが、一方で美大出身者の就職率は必ずしも高くなく、関連業界で活躍できる者はごく僅かである。したがって、プロの美術家やデザイナーにならなかった多数の卒業生をいかにケアし、美術のよき受容者として育てていくかが、今後の美術大学の課題である。

著者: 荒木慎也

参考文献

  • 『西洋美術史研究』No.2, 特集=美術アカデミー, , 三元社, 1999
  • 『日本近現代美術史事典』, 「美術学校・大学の予備校」, araki, 東京書籍, 2007

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