2017年11月15日号
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電子音楽

Electronic Music(英), Elektronische Musik(独)

広義の電子音楽を、電子音を使うあらゆる音楽とするならば、狭義の電子音楽は、1950年代前半にセリエリズムの一種として作られた前衛音楽であり、ほぼ同時代に出現したミュジック・コンクレートに対して主として人工的に生成された電子音を用いる音楽として規定できよう。そもそもは、1951年にケルンの西ドイツ放送局(WDR)にH・アイメルトとO・ルーニングが電子音楽スタジオを設立し、そこに招聘された作曲家K・シュトックハウゼンが《習作I》(1953)や《習作II》(1954)を制作したのがその初めである。1950年代前半には各国で相次いで電子音楽スタジオが作られ──ニューヨーク(1953年、コロンビア大学)、日本(1955年、NHK)、イタリア(1955年、ミラノ)など──、芸術音楽としての電子音楽が数多く制作された。この時期、電子音楽を制作するためには生成する電子音の音高や音価を予め決定しておく必要があったので、電子音楽は音高や音価などを予め決定する当時の前衛作曲界で主流だった作曲技法──トータル・セリエリズム──と親和性が高い音楽ジャンルだったといえよう。それゆえ電子音楽は、演奏家という他者を介在せずに作曲家が頭に思い描いた音像をそのまま現実化できる音楽ジャンルとして理解され(当時しばしば演奏家不要論が唱えられた)、トータル・セリエリズムを信奉する作曲家たちの理想を現実化してくれる音楽ジャンルとしても受容された。

著者: 中川克志

参考文献

  • Electric Sound: The Past and Promise of Electronic Music, Joel Chadabe, Prentice Hall, 1997
  • Electronic and Experimental Music. 2nd editioin, Thomas B. Holmes, Routledge, 2002
  • 『日本の電子音楽』, 川崎弘二(大谷能生協力), 愛育社, 2006
  • 『シュトックハウゼン音楽論集』, カールハインツ・シュトックハウゼン(清水穣訳), 現代思潮社, 1999
  • 『電子音楽in JAPAN』, 田中雄二, アスペクト出版社, 2001

参考作品

  • 《習作I》, カールハインツ・シュトックハウゼン, 1953

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