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2010年03月01日号のバックナンバー

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フォーカス

市場に新しい旋風を送る冬季アート・フェアとアカデミックな美術の伝統を引き継ぐAICAUSA AWARD(全米美術評論家連盟アワード)

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[2010年03月01日号(梁瀬薫)]

 全米で最も大規模なアート・バーゼル・マイアミ。まるで郊外にあるアウトレット・モールさながらの規模で、開催初日の数時間で目ぼしい作品が完売し、あたかも「ブランド品のサンプルセールだ」というニュースが伝えられた、バブル絶頂期の2年前のフェア。しかし2009年のフェアは規模も小さくなり、作品プライスも含め、落ち着きを取り戻したかのようだ。アート市場のバロメーターともいえるフェアだが開催の地域を巻き込み、大衆に話題を提供し、社会に影響を与えてきた。一方、AICA(世界70カ国が加盟する美術評論家連盟)が毎年冬季にニューヨークの主要美術館で開催しているアワード・セレモニーは、フェアの華やかさには欠けるが、限りなく公平に優れた芸術に賞を贈り、アートを奨励している。経済や社会が低迷すればするほど、アートはオルタナティブな手段として多くの役割を担う。

キュレーターズノート

アルスはどこに?(サイバーアーツジャパン展)/三上晴子「Desire of Codes|欲望のコード」展

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[2010年03月01日号(阿部一直/渡部里奈)]

 「サイバーアーツジャパン──アルスエレクトロニカの30年」と題された展覧会が東京都現代美術館で開催されている。現代美術を中心に見ている人たちには「アルスとはいったい何?」という反応が当然かもしれない。またメディアアートの人たちから見れば、「いまごろようやくアルスを」ということになるのかもしれない。グローバルな現状から見たとしても、作品をコレクションし、編集・展示するモダンミュージアムのような場所で、メディアアートを企画特集することは、非常に稀なケースなので、ミュージアムにおける、メディアテクノロジーを主眼に掲げるアートの導入が、伝統的な美術/美術史の空間に対して、どのようなアプローチから展開されているのか、とりあえず注目してみることになる。

「知覚の扉」/「知覚の扉II」

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[2010年03月01日号(能勢陽子)]

 2010年は、明けて早々慌しい年になった。1月9日から、中原浩大、小谷元彦、カールステン・ヘラー、オラファー・エリアソンなどの美術館のコレクションに加え、4人の作家──市川平、中西信洋、山極満博、和田みつひと──が参加する「知覚の扉」が始まった。これら4人の作家たちは、文化庁の「地域文化芸術振興プラン推進事業」を受け、愛知県下6カ所の会場で展覧会やパフォーマンスなどを行なう「あいちアートの森──アートが開くあいちの未来」から、展覧会のテーマにあわせて参加してもらった。「知覚の扉」というタイトルは、かつてニューエイジ運動を先導したオルダス・ハクスレーの、幻覚剤による知覚変化の可能性を追求した本のタイトルから来ているが、本展では視覚・聴覚・嗅覚・触覚のさまざまな感覚器官を強烈に刺激して、この世界に対する新たな手触りを与え、また日常における知覚認識に疑いを差し挟みうる作品を展示した。

高山登 展/公会堂アートショウ+

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[2010年03月01日号(伊藤匡)]

 今月は、今冬に東北で開催されているインスタレーションの展覧会を二つ紹介したい。

artscapeレビュー

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