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2013年08月15日号のバックナンバー

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フォーカス

子どもたちの解放区──「オバケとパンツとお星さま」レビュー

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[2013年08月15日号(大月ヒロ子)]

 最近は夏休みの時期ともなると、子どもをターゲットに据えた展覧会が競うように行なわれる。常設展をひと工夫したり、企画展で新たなチャレンジをしたりと、そのアプローチはさまざまだが、いずれの場合でも、各館が持っている次世代への思いや教育ジャンルに対する解釈が手に取るように見えて、面白い。もちろん、そんな斜に構えた見方をするのは、筆者のような天の邪鬼だけで、来館する子どもたちやファミリー、さらには多くの大人たちも、素直に展示を楽しんでいる。そんな現場に身を置いていれば、意地悪分析脳も次第に縮退し、代わりに、よーし!とことん楽しもう、という気持ちがむくむくと湧いてくる。それほどまでに、美術館で見る来館者の生き生きとした表情や姿は魅力的なのだ。心からその場を味わい、訪れた人同士、家族であっても、よその人との行きずりの関係であっても、そこに暖かな交流を得た人の顔は輝いている。

キュレーターズノート

飯田竜太:再帰の終焉/島袋道浩:能登

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[2013年08月15日号(鷲田めるろ)]

 金沢21世紀美術館の横にSLANTというギャラリーがある。そこで8月4日まで展示されていた飯田竜太の作品が面白かった。

大竹伸朗「憶速」、大竹伸朗「ニューニュー」、大竹伸朗《女根/めこん》

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[2013年08月15日号(山口洋三)]

 大手新聞ほか、ネット上でもすでに話題の、瀬戸内での大竹伸朗の大展開。昨年の「ドクメンタ」そして今年の「ヴェネツィア・ビエンナーレ」出品の余勢も駆って、まさに「驀進」の名にふさわしい。7月16、17、18日と丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、高松市美術館、そして同市女木島(めぎしま)の女木小学校に展開される《女根/めこん》を見て回った。

デジタルアーカイブスタディ

国立情報学研究所 生貝直人氏に聞く:
オープンデータ政策と文化芸術デジタルアーカイブ──EU「公共セクター情報の再利用指令」改正を受けて

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[2013年08月15日号(影山幸一)]

 欧州連合(EU:European Union)は、2013年6月、2003年に制定した「公共セクター情報の再利用指令」の大幅な改正を採択した。日本では目立った報道はなかったが、文化情報を保存・活用・研究している関係者にとっては、“EUの決心”として大きな事件であった。EUによる情報政策の10年間に及ぶチャレンジの結果である、この指令改正の採択によって、EU内の公共文化施設は、所蔵作品デジタルアーカイブのオープンデータ化が義務付けられ、文化遺産ポータルサイト「Europeana(ヨーロピアナ)」(http://www.europeana.eu/)への情報提供は大幅に拡大し、EUの“新しい公共”がバージョンアップして動き出す。次のステージへ踏み出したEUから日本は何を学べるのか。EUのミュージアム・ライブラリー・アーカイブズ(MLA)の変化や、日本・アメリカ・EUの情報政策の違い、また、欧米のデジタルアーカイブの現状と今後の日本の行方について、インターネット世界に詳しい国立情報学研究所特任研究員の生貝直人氏に話を伺った。
 生貝氏は、日米欧の情報政策を専門とし、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事で、東京藝術大学総合芸術アーカイブセンター特別研究員も兼任され、「日本もオープンデータ政策に、文化芸術デジタルアーカイブをいますぐ含むべき」と主張している。

アート・アーカイブ探求

鈴木春信《雪中相合傘》カラリストの白と紙──「田辺昌子」

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[2013年08月15日号(影山幸一)]

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