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2016年03月01日号のバックナンバー

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フォーカス

マクロに捉えた終末と未来

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[2016年03月01日号(多田麻美)]

 世界的な傾向でもあるようだが、現在の中国もSFブームだ。経済、環境、国際関係などの面において将来への不安が募るなか、これから世界や地球はどうなってしまうのだろう、という気持ちが、より広く、切実に共有されるようになっているからかもしれない。
 今回は、やはりそんな雰囲気を感じる北京で、印象に残った作品とプロジェクトを紹介したい。

キュレーターズノート

新潟市美術館のリニューアルと「アナタにツナガル」展

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[2016年03月01日号(伊藤匡)]

 新潟市美術館は、開館30年を機に約1年間休館して改修工事を行ない、昨年7月にリニューアルオープンした。改修工事のコンセプトは「作品にやさしく」「誰もが快適」で「くつろげる」こと。改修工事の中心は空調設備のオーバーホールだが、そのほかにLED照明灯の導入、本のラウンジや軽い飲食も可能な多目的スペースの設置など館内スペースの有効活用、同館を設計した建築家前川國男を紹介する顕彰パネルを設置して館のレガシーを強調しながら、ロゴマークの作成や館内サイン表示の統一など視覚的な新鮮さもめざしている。来館者サービスでは、ミュージアムショップの充実、ベーグルがおいしいと評判のカフェ、日・英・中・韓・露5カ国語の案内パンフレットの制作など、目配りの利いた改善が施されている。

クロニクル、クロニクル!

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[2016年03月01日号(能勢陽子)]

 「展覧会は、消費するのではなく浪費しよう」★1。同じ展覧会を観るのでも、消費と浪費では体験が異なる。前者は跡形もなく無くなってしまうけれど、後者は消化し切れない澱のようなものが残る。確かに展覧会が、次々に紹介されては消えていくように思えることがある。展覧会を、そして作品を、作家を、次から次へと消費し続けているのではないかと、ふと考えさせられる。「展覧会は、消費するのではなく浪費しよう」。タイトル自体が繰り返しの「クロニクル、クロニクル!」は、一度切り、その場限りのものにしないことで、展覧会の消費に抗うひとつの解を与えているようである。

artscapeレビュー

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