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2017年07月15日号のバックナンバー

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フォーカス

「フードとアート」は終わったのか、始まったのか?

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[2017年07月15日号(森岡祥倫)]

 フードスケープ/foodscape、つまりは食と農が織りなす生と死の社会風景を、人類学や文化研究といった人文社会科学のアカデミズムに属さないアーティストが、自前の方法論をもって踏査する。ついで、独自の視点からその絵柄を作品やワークショップ、あるいは合目的化したドキュメントに設え、食の行為の生々しさ、禍々しさ、奇矯性から本来はほど遠い秩序空間である美術館や種々のアートサイトやイベントで披露する。はたしてそれは、芸術と社会との新しい契約関係を期待する「芸術的活動家」の、自己同一性の投企なのだろうか? いずれにせよ、芸術的表象としての食物や食事ではなく、食物生産や摂食の営みそれ自体に何らかの社会的な媒介性を仮定して、その意義、可能性、矛盾を作品やプロジェクトに翻案する、そうしたアーティストの態度を世界のそこかしこで目にするようになってずいぶんな時がたつ。

キュレーターズノート

マチエールとの格闘──田口和奈/米倉大五郎 2つの個展から

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[2017年07月15日号(角奈緒子)]

 今年もあっという間に、じめっとした重い空気がまとわりついて、じっとり汗ばむ季節がやってきた。そんな季節だからこそ、一見爽やかそうだが意外と粘度は高め、心地よい程度に頭にこびりついて離れず、作品と素材との関係を深く考えさせられる2つの個展を紹介したい。

岩崎貴宏作品における場所性
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館

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[2017年07月15日号(鷲田めるろ)]

 5月に第57回ヴェネチア・ビエンナーレが開幕した。今回、私は日本館のキュレーターを務めることになり、岩崎貴宏の個展を企画した。イタリアの出版社SKIRAから発行した日本館カタログに寄せた文章では、海外の人たちに向けて、岩崎の作品を読み解くうえで参考となるであろう、日本の歴史的な文化と現在の社会状況を説明した。一方ここでは、岩崎を特徴づける、場所との関わりに絞って、日本館の展示作品について書く。

トピックス

加納光於──清澄な空気の穂先に

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[2017年07月15日号(暮沢剛巳)]

 加納光於が版画家として出発した美術家であることはよく知られている。ほかの表現に注力していた時期もあるとはいえ、結局は版画へと戻ってくる。CCGA現代グラフィックアートセンターで開催している展覧会「加納光於─揺らめく色の穂先に」(2017年6月17日〜9月10日)で久々に加納の作品に接した私は、版画が彼にとって原点というべき場所であったことを再確認した。

アート・アーカイブ探求

白隠慧鶴《半身達磨》目に見えない核心を見よ──「浅井京子」

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[2017年07月15日号(影山幸一)]

artscapeレビュー

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