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2018年10月01日号のバックナンバー

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フォーカス

【アジア】アートブックフェアの現在地

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[2018年10月01日号(安東嵩史)]

「アジアが熱い」と言われ始めて久しい。

その言葉にはいくつかの要素が含まれるが、まずはなんといっても特徴的な人口動態がある。国際連合の2008年度調査では世界の若者人口(ここでは15〜29歳)のうち実に30%を東南アジアが、28%を南アジアや中央アジアが占めていたことにも象徴されるように、すでに人口減少に転じていた欧米や、同じアジアの日本などと比べても圧倒的に「若い国」が多く、それはすなわち今後安定的に持続・拡大していくマーケットがそこにあるということでもあるため、21世紀の初頭には特に世界の対アジア投資が活発になっていた。そして、それが特に東南アジア各国における飛躍的な経済成長を促した。
そして、そうした状況がもたらした所得やインフラの向上にともなう文化的な変化が後からついてきた。インターネットの時代ということもあり、同時代の世界の息吹をリアルタイムで摂取しながらもアジア特有の複雑な民族構成、細分化されたローカル文化、さらに政治的課題などまでも内包したユニークな音楽、映画、ファッション、ITサービスなどが若者たちによって次々に生み出され、その豊かさに世界が瞠目しつつあるというのが、2018年の現在地だろう。

キュレーターズノート

ハンバーガーの「ひと口」から食のあり方を考える
──YCAMの新プロジェクト「StudioD」のしくみ

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[2018年10月01日号(石川琢也)]

山口情報芸術センター[YCAM]では、「食」をテーマにした新プロジェクト「ひと口から考える食のエコシステム StudioD」が2018年7月にオープン。前回の寄稿では、プロジェクトの背景にある思想や事例を紹介した。今回は、食にまつわる「食材」「味覚」「情報」「消費」「シェフ」の視点から、StudioDのしくみとその狙いを紹介する。

時空を超えた詩的な広がり──金沢21世紀美術館「邱志杰(チウ・ジージエ) 書くことに生きる」展

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[2018年10月01日号(鷲田めるろ)]

邱志杰(チウ・ジージエ)の個展が金沢21世紀美術館で始まった。私が邱のことを知ったのは、2015年に金沢21世紀美術館で開催したグループ展「誰が世界を翻訳するのか」展であった。2011年に国立国際美術館で開催された「風穴」展にも出品されているが、私はこの展覧会を見ていない。2015年に金沢で出品されたのは平面作品で、その中に含まれている様々な意味を読み解くところまで至らなかった。

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