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2023年09月01日号のバックナンバー

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フォーカス

【ケルン】デジタルとアナログを批評的に往還する──チョイ・カファイの〈テレプレゼンス〉

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[2023年09月01日号(内野儀)]

今年の初夏にドイツの2都市で開催された「Theater der Welt(世界演劇祭)2023」は、そのプログラム・ディレクターを芸術公社の相馬千秋氏が務めたことで日本国内でも話題になった。こうした例も筆頭に、長い歴史をもつ欧州の伝統的な劇場や演劇祭・音楽祭などの場では近年、日本を含むアジアのアーティストによる作品がますます多く上演されているのは周知の通りだろう。
そんななか、ドイツ・ケルンで5月に上演されたシンガポールの演出家チョイ・カファイによる『イーシュンは燃えている(Yishun Is Burning)』。デジタル技術の介在する身体と、それを覆うシャーマン的なスピリチュアリティをダンスの一要素として扱う本作を、アナログの殿堂ともいえる場で上演することによって生まれるものについて、在外研究の一環で現在ベルリンに滞在中の内野儀(学習院女子大学国際文化交流学部教授)氏よりご寄稿いただいた。(artscape編集部)

キュレーターズノート

刻刻と移り変わる夏を受け止める作品たち──「吹けば風」展

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[2023年09月01日号(能勢陽子)]

現在豊田市美術館で開催している「吹けば風」展は、ひとつの言葉や概念に統合される前の、この世界に対する新鮮な知覚に直に触れようとするものである(企画は石田大祐学芸員)。このタイトルは、明治生まれの詩人・高橋元吉の詩からきているという。

デジタルアーカイブスタディ

展覧会図録のデジタルアーカイブとその公開──三の丸尚蔵館の事例から

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[2023年09月01日号(三島大暉)]

コロナ禍で大きく加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れのなか、2022年に改正された博物館法では「博物館資料に係る電磁的記録を作成し、公開すること」という項目が追加され、国内の文化的基盤を支えるミュージアムにおいても、デジタルアーカイブに対する注目度はますます高まってきている。
皇室に代々受け継がれ国に寄贈された絵画・書・工芸品などをはじめとして、約9,800点の美術品類を収蔵する「三の丸尚蔵館」(※)。同館は近年、国内でもまだ珍しい事例として、自館で開催された展覧会の図録をデジタル化し、ウェブサイト上での公開を始めた。同館学芸室研究員の三島大暉氏に、同館におけるデジタル資料の構築と保存、活用の具体的手法や、これからの課題についてご寄稿いただいた。(artscape編集部)
※現在は一時休館中。宮内庁から独立行政法人国立文化財機構への移管に伴い「皇居三の丸尚蔵館」に改称のうえ、2023年11月の一部開館を経て2026年に全面開館を予定。

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