現代美術用語辞典 1.0

『モダン・デザインの源泉――モリス、アール・ヌーヴォー、20世紀』ニコラウス・ペヴスナー

The Sources of Modern Architecture and Design
2009年01月15日掲載

筆者ニコラウス・ペヴスナーは、ケンブリッジ大学の教授であり、『アーキテクチュラル・レヴュー』の編集委員として、建築、デザインに関する論文を数多く発表した。 1936年に『モダン・デザインの展開』を発表、これは近代デザイン史の名著と言われている。アーツ・アンド・クラフツ運動から近代運動の成立の過程をドラマティックな思想史として描いたもので、絵画、建築、工芸、文学、社会背景までを取り込み、1914年のバウハウスまでを扱っている。1968年に発表された『モダン・デザインの源泉』は、アール・ヌーヴォー、ガウディ、サンテリアなどを中心に、歴史主義からの離脱の過程を分析する。ペヴスナーがモリスからグロピウスまでをモダン・デザインの「源泉」とするのは、産業革命以降に生み出されるさまざまなモノを統合する様式ができるまで、つまり統合への意思を明確に述べたモリスから、インターナショナル・スタイルの成立と彼がみなすグロピウスまでが「源泉」の時代だとするからである。ペヴスナーのこの2冊に共通する点は、デザイン史の古典的手法とも言える、デザイナーとその作品を軸にして、個人の思想・精神を歴史的に追うスタイルをとっており、その後のデザイン史はペヴスナー的手法への批判から始まると言える。

[執筆者:紫牟田伸子]

現代美術用語辞典 2.0

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