2018年12月01日号
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現代美術用語辞典 1.0

サンボリスム(象徴主義)

Symbolisme
2009年01月15日掲載

1880年代後半のフランスで起こった反写実主義、反科学主義的な文芸・美術傾向。1886年9月18日付の『フィガロ』紙に詩人のJ・モレアスが「ル・サンボリスム」(象徴主義)と題する宣言を掲載し、象徴主義は「芸術における最も今日的な精神を正確に表現できる唯一の教義」であり、詩の目的は「理念に感覚的形態を纏わせること」であると述べたことに由来する。その背景には近代的合理主義に反対し生の躍動を根本理念としたショーペンハウアーやベルクソンらの新しい哲学思潮があった。美術における象徴主義は1880年代から1910年代にかけてのアカデミズムとポスト印象派に対する新傾向と見られるが、同一の名の下に二つの潮流があったことに注意する必要がある。ひとつはP・ゴーギャンとポン・タヴァン派からM・ドニを通じてナビ派に至る総合主義或いはクロワニズムと呼ばれる反印象主義的色彩表現法であり、輪郭線(クロワゾン=仕切り)と単純化された形態により、平面的色彩の神秘的な表現力が音楽的感動を起こすことがもくろまれた。もうひとつは過去の宗教や神話に主題を採ることで絵画に象徴的・暗示的な物語性を獲得しようとする反現実主義的な表現傾向であり、O・ルドンやP・D・シャヴァンヌからF・クノップフ、M・クリンガー、G・クリムトらの世紀末絵画へと拡がりを見せた。

[執筆者:三本松倫代]

現代美術用語辞典 2.0

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