現代美術用語辞典 1.0

ジャパニメーション

Japanimation
2009年01月15日掲載

Japanとanimationを組み合わせた、日本製のアニメーションの総称。1963年にテレビ放映が開始された『鉄腕アトム』を皮切りに、日本のテレビ、映画においてアニメーションは一種独特の発展を遂げ、宮崎駿、押井守といった作家の活躍もあって、1980年代後半には国際的な認知を得るようになった。それらの作品の多くは、そこで展開される物語はもとより、卓越したメカデザインやキャラクターのフェティッシュ的魅力にも多々日本的な要素が見られることから、日本特有のオタク文化と結びつけられ、「ジャパニメーション」として語られることが多くなり、庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)でピークに達した観がある。この表現形態に強く触発された、村上隆のような美術作家や東浩紀のような批評家の台頭も、「ジャパニメーション」の関心の高まりに一役買っていると言えよう。もっとも、アメリカのアニメーション流通市場では、日本産のアニメーションは「ANIME」と称されており、一見国際的な標語のように思われる「ジャパニメーション」は、実は海外進出を意識した徹底してドメスティックなキャッチフレーズでもあり、岡田斗司夫のようにその概念そのものを否定する見解も少なくない。『ユリイカ』の1996年8月号は、「ジャパニメーション」の喧噪の渦中にあって、この動向を包括的に扱った意欲的な企画である。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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