現代美術用語辞典 1.0

アスキーアート

ASCII Art
2009年01月15日掲載

コンピュータのスクリーン上で作られる「絵文字」の総称。略称AAはデザイン用の言語やソフトを用いず、あくまでもデータ通信用の符号体系であるASCIIをベースとして、半角文字や記号だけを組み合わせて作られるところに特徴がある。掲示板をはじめ、主にデータ通信言語以外の言語を用いることのできない環境下で展開され、また音声出力や点字出力など、コンピュータの操作環境によっては閲覧することもできないなど、多くの制約を前提に発達を遂げた点では、空間の自由度の高さを主な発達要因としてきたネットアートの中でも特異な位置を占めている。パソコンの普及に伴い、国際規格であるASCIIを用いた「絵文字」はほぼ世界全域で作られているが、中でもアルファベットと二種類のかな文字が並存する日本語の複雑な言語体系下では、英語をベースとするASCIIの可能性がさらに多様に追究され、独自の発展を遂げることになった。毎日300万件以上のアクセスが殺到することで知られる巨大掲示板「2ちゃんねる」に出現した絵文字のキャラクターである「モナー」は、日本語のアスキーアートの象徴的存在である。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

▲ページの先頭へ