現代美術用語辞典 1.0

ジャンル

Genre
2009年01月15日掲載

二つの意味をもつ用語。語源はラテン語のgenus(種族、出生、血統、起源などを意味する)に由来するフランス語、genreからきている。ジャンルの位階制度のもとで、歴史画ではないジャンルを取り扱う絵画という意味で肖像画から静物画までの広い範囲を示していたが、その後、絵画区分がなされていく中でそのどれにも属さない絵画、すなわち風俗画を指すようになっていったと考えられる。 第一義は歴史画、風景画など内容、主題によって絵画を区分することである。17・18世紀のフランスアカデミーにおいて詩の領域での価値序列が絵画に適用された。フェリビアンは歴史画、肖像画、動物画、風景画、静物画という順序で絵画のジャンルは位階づけられるとした。 第二義は17世紀オランダで一般的となった日常生活の情景を扱っている作品のことで、日本語では風俗画と呼ばれる。風俗画の領域は非常に広範であり、例えばヤン・ステーンの描く風俗画は、市井の人々についての風刺画や教訓画でもある。18世紀のブルジョワ階級の成長とともに、イギリスではホガースによって、フランスではシャルダン、グーレーズらによって風俗画は絵画区分の中でより大きな位置を占めていくこととなる。

[執筆者:山口美果]

現代美術用語辞典 2.0

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