現代美術用語辞典 1.0

ロンドン大博覧会(1851)

London Great Exhibition of 1851
2009年01月15日掲載

1851年、ロンドンのハイドパークで開催された史上初の万国博覧会。その会期は5月から10月までの141日間、参加国はオーストリア、フランス、ドイツ、ロシア、ギリシアなどのヨーロッパ諸国をはじめ、アメリカ、メキシコ、ブラジルなども含めて計 34カ国、総入場者数は604名に達した。この博覧会の前身は、その4年前から毎年開催されていた芸術協会主催の工業製品と工芸品の展示会だが、当時ロンドン公文書館館長補佐の要職にあったH・コールは、芸術協会会長にしてヴィクトリア女王の夫であったアルバート公に、この展示会の規模を拡大し、国際規模の博覧会とすることを進言。その進言を容れたアルバート公は王立委員会を組織し、以後その開催へと邁進することになった。コールが万国博覧会の開催を進言したのは、1849年にフランスで開催された産業博覧会を見て、国威発揚とイギリス工業の世界的先進性を訴求するためには、それ以上の規模の博覧会を開催する必要を痛感したからであり、その由来は万博というスペクタクルの政治的本質を明確に示している。なおこの万博の主会場となった「水晶球(クリスタルパレス)」は造園家J・パクストンの代表作でもあり、その壮大な鉄とガラスのモニュメントは、19世紀の工業社会の象徴でもあった。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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