現代美術用語辞典 1.0

フォーマリズム

Formalism
2009年01月15日掲載

内容に対して形式を重視し、形式的要素から作品を解釈しようとする美学的傾向。歴史的にはフィードラーの純粋可視性の理論、H・ヴェルフリンの視覚形式論に現われている。現代のフォーマリズムの概念はC・ベル、R・フライ、C・グリンバーグらによって確立された。20世紀初め、イギリスのベルとフライはアーティストの意図や社会背景よりも視覚上の作品の形式的特性によって美術史を分析しようとした。第二次世界大戦後、アメリカのグリンバーグは形式の内在的自己批判による還元のモダニズム論によって美術批評家や当時のモダニストに多大な影響を与えた。60年代にはM・フリードらがミニマル・アート演劇性、R・クラウスらがフォーマリズムのディコンストラクション(脱構築)の諸理論を掲げて活躍した。70年代半ば以降のフォーマリズムはフェミニズム、セミオティクス(記号論)、ディコンストラクションの思想を基調とする、より広範な手法によって展開していくこととなる。

[執筆者:山口美果]

現代美術用語辞典 2.0

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