現代美術用語辞典 1.0

ニュー・リアリスツ展

International Exhibition of the New Realists
2009年01月15日掲載

1962年11月から12月にかけてニューヨークのシドニー・ジャニス・ギャラリーにて開催された歴史的な展覧会。展覧会のタイトルはパリで1960年に結成されたグループ「ヌーヴォー・レアリスム」の英訳で、同展にはその「ヌーヴォー・レアリスム」の指導的評論家であったピエール・レスタニーが関わっていたほか、Y・クライン、J・ティンゲリー、アルマンら同グループのアーティストたちが参加していた。ギャラリストのシドニー・ジャニスの展覧会開催意図にもレスタニーの影響が認められる。しかし同展にはA・ウォーホル、R・リキテンスタイン、C・オルデンバーグ、J・ダイン、J・ローゼンクイスト、T・ウェッセルマンなど、のちに「ポップ・アート」の範疇で語られることになるアーティストたちが多数出品しており、シドニー・ジャニスもそれまでしばしば混同されてきたR・ラウシェンバーグらのネオ・ダダとは一線を画した純粋に大衆的で日常的なものを呈示しようとしていた。同展はイギリス、イタリアなどのヨーロッパ諸国、とりわけフランスの理念的影響を強く受けていたにもかかわらず、結果としてむしろアメリカのアーティストたちの新奇さや大衆性をアピールし、アメリカにおけるポップ・アートの到来を予告した。

[執筆者:浅沼敬子]

現代美術用語辞典 2.0

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