現代美術用語辞典 1.0

養老天命反転地

Site of Reversible Destiny-Yoro Park
2009年01月15日掲載

岐阜県養老市の養老公園を舞台とした公園事業。「心のテーマパーク」という事業名を持つが、実質的には荒川修作+M・ギンズによって制作された大規模なパブリック・アート作品としての側面が強い。岐阜県がかねてから推進していた「夢おこし県政」の一環として大規模かつ哲学的な公園事業が構想された結果、隣接する愛知県の出生で、また戦時中に岐阜県への学童疎開経験がある国際的アーティストの荒川に白羽の矢が立ったもの。楕円形にくり抜かれ、傾斜の強い約18,000平方メートルの広大な敷地内には、「極限で似るものの家」「宿命の家」など、荒川+ギンズが近年手がけている建築プロジェクトが点在し、来場者に過酷な身体経験と知覚の変容を迫る仕掛けとなっている。およそ前例のない公園事業だけに実現は難航、その事業経費は当初の予定の倍以上に膨れ上がったが、1995年10月4日の開園以来、当初見込みを大幅に上回る来場者数を記録している。なお、この事業の反響に気をよくした荒川+ギンズは現在、さらに大規模な都市計画事業「宿命反転都市」を東京都に提案、臨海副都心地区での実現を目指している。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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