現代美術用語辞典 1.0
日本宣伝美術会
Japan Advertising Artists Club
2009年01月15日掲載
通称「日宣美」、略称JAAC。1938年に結成された「広告作家懇話会」メンバーが、デザイナーの職能団体として「東京広告作家クラブ」を設立。その年に各企業の有力デザイナーに呼びかけ、51年、「日本宣伝美術会」が設立され、原弘、山名文夫、新井静一郎、亀倉雄策、河野鷹思ら約50名によってスタートした。以後、大阪、名古屋ほか全国主要都市で毎年展覧会を開催し、53年からは作品公募を開始、新人の登竜門となる。国際デザイン会議への参加など、海外との交流も活発に行なった。日宣美は戦後最初の全国的な広がりを持ったグラフィック・デザイナーの職能団体として設立されたが、徐々に権威を増していく。1970年、学生運動の高まりにしたがい、「革命的デザイナー同盟」「美共闘」など、日宣美粉砕共闘の批判運動にさらされ、展覧会の中止を余儀なくされ解散。東京・名古屋・大阪の三都市で、大々的に解散展が開催された。日本グラフィックデザイン運動の一翼を担った団体であり、デザイン史に残る多くの名作を世に送りだした。
[執筆者:紫牟田伸子]