アートフラッシュニュース
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共同体について
最終更新日:2018年04月12日
わたしたちは散り散りに世界にいるわけではなくて。果物で言えば葡萄の房のようにコミュニティをつくり暮らしている。国家、街、学校、会社、SNS、家族、、、など大小さまざまな集団に幾重にも属している。もちろん、美術/アートも例外ではなくそれ全体がひとつの共同体とも言える。その中にたくさんの集団がひしめき合っている。その大半が潜在的な共同体であり意識的に生まれたわけではない。
例えば、パープルームは民家を学校として半共同生活を営むいわば疑似家族のような美術家集団であり、渋家は2008年に渋谷に誕生した大人数のシェアハウスである。19世紀末フランスのパリで活動したナビ派はポール・ランソンの家を「神殿」と呼びボナールやドニをはじめとする作家たちが集う秘密結社的な場であった。他にも印象派、フォーヴ、ダダ、実験工房、具体、もの派、美共闘など枚挙にいとまがない。これらは意識的に生まれた共同体であり、いつの時代も集団やグループはすでにあるインフラや環境と個の間の緩衝材、スペースとして表現の発生と深く関わってきた。
通常、グループ展とは友人同士であったり、主義主張を同じくする者たちによって組織されることが多い。しかし本展はそういう趣旨で開催されるわけではない。だからと言って、なんとなく集められたわけでも、表現の多様性を示したいわけでもない。
グループ展という形式は期間限定の集合体である。それぞれの出展者たちが拠って立つ文脈や引き連れてくるものたちが絡み合ったり断絶したりすることによって現れる切断面にどのような融和や不和が認められるのだろうか。そして一番重要なのは、いまここにはいない他者。とりわけ死者や亡霊たちと天体的関係を結ぶことである。本展では実際に出展作家と死者たちのつながりがわかりやすく図解されているわけではない。美術に於ける共同体は作家同士の連帯のみを指すのではなく異なる幾つかのものを紐づける鑑賞者の眼がつくるものでもある。
梅津庸一
- 会場
- URANO
(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F) - 会期
- 2018年4月21日(土)〜5月26日(土)
- 休館日
- 日曜・月曜・祝祭日
- 開館時間
- 火・水・木・土:11:00〜18:00
金:11:00〜20:00 - 出展者
- 松浦寿夫/フナイタケヒコ/安藤裕美/梅津庸一/ユ、六萠/大野陽生/渋家分離派
- 企画
- 梅津庸一
- シンポジウム「共同体について」
- 5月12日(土)18:00〜20:00
登壇:松浦寿夫、梅津庸一ほか