artscapeレビュー

極並佑展「彷徨うシンデレラ」

2011年05月01日号

会期:2011/04/16~2011/05/28

イムラアートギャラリー京都[京都府]

太い輪郭線、平面的な彩色、顔の部分が見えない人物が特徴だった極並佑の絵画。しかし新作では、背景の部分が具象的な表現になり、作風に変化が生じていた。それは、以前の作品が持っていた無機質さから、さざ波のような不穏な気配への変化であり、ある種の物語性が発生することによる作品と観客の距離間の変化である。彼の作品をもって、現代人の曖昧で希薄な人間関係を示唆しているという指摘があるが、果たしてそれだけだろうか。自分自身、まだ言語化はできていないが、より深い解釈がまだ残されている気がする。極並の作品はまだまだポテンシャルを秘めているのではなかろうか。

2011/04/19(火)(小吹隆文)

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