artscapeレビュー

鹿島茂コレクション1 グランヴィル──19世紀フランス幻想版画展

2011年05月01日号

会期:2011/02/23~2011/04/10

練馬区立美術館[東京都]

仏文学者の鹿島茂のコレクションを紹介する企画展。フランスの幻想版画家、グランヴィルによる挿絵がまとめて展示された。石版画の多くは世情を風刺したもので、動物を擬人化した図像によって、その風刺の力を効果的に引き立てていた。《大自由狩り》(1832)という石版画は、下半身は人間だが、上半身は「LIBERTE」というそれぞれのアルファベットに化した生き物を、軍隊がライフル銃や大砲で狙い撃ちにする光景を描いたもの。社会風刺の伝統を忘れつつある日本のクリエイターにとっては、見習うところが多い作品である。

2011/04/10(日)(福住廉)

artscapeレビュー /relation/e_00012345.json l 10000413

2011年05月01日号の
artscapeレビュー