2018年10月15日号
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artscapeレビュー

藝術学関連学会連合第6回公開シンポジウム「アートとデザイン──その分離と融合」

2011年07月01日号

会期:2011/06/18

大阪大学会館講堂[大阪府]

「アートとデザイン──その分離と融合」と題するシンポジウム(主催:藝術学関連学会連合)が大阪大学で開催された。筆者はパネリストの一人として参加したので、その概要を紹介したい。開催にあたり、黒川威人氏(金城大学)は、デザイン学と芸術学の協同により、アートとデザインの関係性を歴史的に見通すことの意義について述べた。「藝術」といえば、「ファイン・アート」がすぐさま想起されるけれども、美を藝術に結び付けるのは近代特有の考え方であって、それ以前に共有されてきた「アート」がある。「術=arts」はどのようにして「藝術」と「機械的技術」に区分されたのか? 藤田治彦氏(大阪大学)は、イタリアの「ディセーニョ」やフランスの「デッサン」と「ファイン・アート」との関係などを、アカデミーを事例として、「デザイン」概念が拡張される歴史的経緯・展望を論じた。次に歴史篇として、筆者がまず、19世紀英国の官立デザイン学校をとりあげて、アートからデザインが分離する状況とそれに纏わる諸問題について報告した。森仁史氏(金沢美術工芸大学)は、日本人の芸術観(「芸」概念)と「美術」概念が移植される様相を詳述し、日本におけるアートとデザインの連関は「工芸」を起点としていると指摘した。そして実践篇では、竹原あき子氏(和光大学)が「日本的なるもの」の探求をキーワードに日本の現代デザインにおける展望を熱く語った。最後に、ゲストの黒川雅之氏(黒川雅之建築設計事務所)が、デザインとはなにかを考えるために構想した〈デザインの樹〉──アートとテクノロジーの融合である「建築」を幹として広がる図式──を提示し、デザインの魅力を高らかに謳いあげた。藝術学関連学会連合のシンポジウムで、「デザイン」がおもなテーマとなるのは、今回が初めてである。現在、社会で急速に意味・使用が拡大している「デザイン」と、変化を遂げ境界が融解しつつある「アート」。これを契機として、デザインおよびアート研究双方のためにも、議論の場が継続的にもたれるよう期待したい。[竹内有子]

2011/06/20(月)(SYNK)

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