Stack-ing Design展──積み、重ねる、カタチ。:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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Stack-ing Design展──積み、重ねる、カタチ。

2011年07月01日号

会期:2011/06/16~2011/07/12

世田谷文化生活情報センター 生活工房[東京都]

身の回りのデザインに着目する生活工房の企画。今回のテーマはスタッキングである。灰皿、グラス、食器、弁当箱、トレイ、ボウル、重箱、スツール、スーパーのカゴやカート、ケロリンの湯桶、パイロン、ヘルメット、跳び箱……。積み重ねることができるようになっているさまざまなプロダクトが集められている。会場の間仕切りはスタックされたビールケースだ。企画を担当したデザインユニットdelibabは、重ねる行為から人とモノとのあいだに生まれるコミュニケーションを提案する。たとえばアルファベットが一文字ずつプリントされたカップは、重ねる順番によって現われる単語の意味が変わる。積み木に通じる楽しさだ。
会場ではとくにデザインをジャンル分けしたり、意味を示しているわけではないが、似た性格のプロダクトが集まると、自然とその類似点、相違点がみえてくる。重ねることの目的は第一に空間の節約であるが、そのときにモノに必要な面積だけが減るものと、容積も減るものとがある。使われている時間よりも使われていない時間のほうが長いものほど、より効率的なスタックが求められる。食器類はその典型。流通過程はもちろんのこと、家庭においても皿が実際にその用をはたすのは、一日のうちのほんの短い時間に過ぎないからだ。また、米俵やビールケース、タッパーウェア、衣装ケースなど、単体であるよりも積まれたカタチが常態のものもある。これらは中身が入った状態で長時間・長期間にわたって保管される点が共通している。
ユーザーが求めているのは空間の経済性であり、その課題をどのように解決するかがデザイナーの腕の見せどころである。展示されているスタッキング・デザインの数々は、現場で鍛えられたロングライフ・デザインともいうべきものばかり。ここには問題解決のためのヒントがたくさんある。[新川徳彦]

2011/06/17(金)(SYNK)

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