artscapeレビュー

特集展示:石田尚志

2011年07月15日号

会期:2011/06/11~2011/01002

東京都現代美術館常設展示室1F[東京都]

絵画は描かれた結果がすべてであり、描く過程は見ることができない。いや、アトリエで見学することはできるが、描く過程を作品として残すことはできない。石田はそれを映像を使って作品化しているユニークなアーティストだ。たとえば、アトリエの壁に窓からの光が射すと、その陰の部分に色を塗っていく。光は徐々に傾いていくので、塗る部分も少しずつ変わっていくという作品。あるいは、細長い紙に数本の筆でアラベスクのような線を引いていき、それをコマ撮りで撮影する。それを早回しで再生すると、線が植物のようにビュンビュン伸びていく……。絵画に内在する時間性をこれほどあからさまに露呈させたアーティストは珍しい。今回は石田の初期の油絵も展示されていて興味深い。それにしても、常設展示室なのに企画展顔負けの扱いはなんだろう。名和展ほどではないものの1階の半分以上のスペースを使っているし、会期は名和展より長いくらいだ。いやおおいにけっこうなことだが。

2011/06/16(木)(村田真)

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