artscapeレビュー

プレビュー:榎忠 展 美術館を野生化する

2011年10月01日号

会期:2011/10/12~2011/11/27

兵庫県立美術館[兵庫県]

1960年代後半から神戸を拠点に活動を続けてきた榎忠。その活動は既存の美術館や画廊とは一線を画しており、展示場所をつくる段階からすべて独力で行なう特異なものだった。作品も独特で、ギロチンで裁断した鉄の塊、大量の薬莢を用いたインスタレーション、砂型で鋳造した自動小銃、果ては自作の大砲といったハードなものが多い。その一方で、自ら女装して“ローズ・チュウ”となり、バーを開店したこともある不思議な魅力をたたえた作家である。そんな榎の業績を展観する初めての回顧展が、遂に地元神戸の美術館で行なわれる。彼の作品には現存しないものも多いので、どのようなかたちになるのかはわからないが、いずれにせよ、近年の関西で最もエキサイティングな展覧会となる可能性が高い。

2011/09/20(火)(小吹隆文)

artscapeレビュー /relation/e_00015041.json l 10011722

2011年10月01日号の
artscapeレビュー