artscapeレビュー

Sculpture Times #1 FROM NUDE

2011年10月15日号

会期:2011/09/01~2011/09/06

上野の森美術館ギャラリー[東京都]

東京藝大彫刻科の若手教員を中心とした15人のグループ展。「ヌード」といえば、彫刻のみならず美術全般の基本中の基本。だからさまざまなヌードがずらりと並ぶはずだと期待して見に行ったら、裸体像もあるにはあるが、たんに角材を立てたものや、石を彫って家型に組み立てたもの、山岳風景を彫った石彫もあった。ざっと見たところ、裸体像はおよそ半数しかない。だから期待はずれだったかといえばそんなことはなく、だから楽しかったんだけどね。ヌードばかりでなかったのは、タイトルに「FROM」がついてるからだ。この「FROM NUDE」にもっともふさわしいと思ったのが、イチジクの葉をモチーフにした森一朗のセラミック作品。イチジクの葉は「恥」を知った人間が全裸の下腹部を隠すために用いた道具なので、まさに「ヌードから」。さて同展のもうひとつの試みは、展覧会に合わせてタブロイド判の小冊子を発行したこと。『Sculpture Times』の命名もおそらくこの「新聞」にダブらせているのだろう。気鋭の批評家のエッセイや芸術学科の学生の解説を載せているが、残念なのは、なにについて書いてあるのかさっぱりわからなかったり、ハナから人に読んでもらう(理解してもらう)姿勢に欠けた「名文」もあること。モッタイナイ。

2011/09/06(火)(村田真)

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