artscapeレビュー

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展・記者発表

2011年10月15日号

会期:2011/09/26

イタリア大使館[東京都]

待望のレオナルド・ダ・ヴィンチ展。といっても《モナリザ》が来るわけないし、《最後の晩餐》は壁画だから運べない。タブローは、作者が「レオナルドと弟子」とか、「レオナルド構想」とか、「レオナルド派」とかばかりで、確実にレオナルドの手になるのは2点の素描と習作のみ。それでもすごい。地震と津波に襲われ、放射能に汚染された二流国の、いや文化的には三流国の日本に貸してくれるのだから、イタリアは太っ腹だ。たんにアバウトなだけかもしれないが。で、レオナルドの真作は《ほつれ髪の女》と《衣紋の習作》の2点。前者は清楚な女性(ひょっとしたら男)を描いた素描で、これは人気が出るだろう。でも私的には、人物を描かず服のシワだけを描いた《衣紋の習作》のほうに興味がある。おそらくクリストもこういう衣紋の美しさに魅せられて布による巨大なインスタレーションを始めたのだ。ほかにも、4点の《裸のモナ・リザ》を含む「モナ・リザもどき」や、もうひとつの《岩窟の聖母》なども見られる。静岡市美術館(2011/11/03~2011/12/25)、福岡市美術館(2012/01/05~2012/03/04)のあと、Bunkamuraザ・ミュージアム(2012/03/31~2012/06/10)にて開催。

2011/09/26(月)(村田真)

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