2017年11月15日号
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artscapeレビュー

榎忠 美術館を野生化する

2011年11月01日号

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会期:2011/10/12~2011/11/27

兵庫県立美術館[兵庫県]

数々の異色作で、半ば伝説的存在といえる榎忠。美術館や画廊という既成のシステムに頼らず、会場探しからすべてを自力で行なうスタイルを貫徹したため、彼の作品には現存しないものも多い。それゆえ、美術館での大規模個展は不可能だと思い込んでいたが、遂にその機会がやって来た。出品作品には旧作も含まれるが、多くは新たなアレンジが施されており、榎自身もすべてが新作という意識で展覧会をつくり上げたという。自動小銃をモチーフにした作品、パフォーマンスでお馴染みの大砲、おびただしい数の薬莢を用いたインスタレーションなどはこれまでにも見たことがあるが、溶鉱炉の廃棄物(不純物を多く含む鉄の塊)や、パイプラインに使用される巨大な鉄管(製品検査用の断片)などの作品は、まったくの新作。それらには、ほとんど榎の手が入っておらず、素材本来の美を抽出している。こうした榎忠作品の知られざる側面に光を当てたのは、本展の功績と言えよう。

2011/10/12(水)(小吹隆文)

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