artscapeレビュー

伝統芸能バリアブル

2011年11月01日号

会期:2011/10/16

京都芸術劇場 春秋座[京都府]

キュピキュピの主宰者で、映画監督としても活躍する石橋義正が、キュピキュピと伝統芸能を融合させるユニークな試みを行なった。演目の構成は、ダンス、音楽、映像(2日と3日)、照明が融合したキュピキュピ特有のパフォーマンスと、能楽、長唄、浪曲が交互に登場する形式で、両者をつなぐ役割も兼ねて「打打打団 天鼓」の和太鼓演奏が節目ごとに行なわれる。もちろん、伝統芸能の場面でも照明やスモークなどの演出があり、どちらかといえばキュピキュピの世界に伝統芸能を引き込んだ作品であった。生粋の伝統芸能ファンの評価はわからないが、元々雑食性だったキュピキュピの世界が、この公演を機に更に広がるとすればウェルカムだ。特に3D映像は効果的で、今後も多用される可能性が高い。なお、本公演は「KYOTO EXPERIMENT 2011 京都国際舞台芸術祭」のプログラムである。

2011/10/16(日)(小吹隆文)

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