artscapeレビュー

代官山インスタレーション2011

2011年11月15日号

会期:2011/10/09~2011/10/30

代官山界隈[東京都]

今年で7回目を迎えた野外インスタレーションのコンペ。前回までとなにか違いがあるとすれば、審査員のひとり中原佑介さんが亡くなり、代わりに北川フラムさんが加わったこと。もともと北川さんは主催者側の人間だから、この変更によって審査の方向性が変わることは考えにくい。でも今回は、毎回ひとつはあった思わずうなってしまう奇抜なプラン、思わず笑ってしまうおバカな作品が影をひそめたように感じるのは気のせいか、それともナンセンスをこよなく愛した中原先生が抜けたせいか。ちょっとおバカだったのは、河地貢士の《まんが農業》。分厚いマンガ雑誌の印象深かったページに野菜の苗を植え、水をまいて育てるというプランだが、残念ながらサイトスペシフィックではない。平賀俊孝×佐々木尚之の《象徴的生活感》とZEMIの《ヒルサイドFM》は、どちらも街なかにブースを設け、ガラス張りのなかで人が活動するというプラン。これは新しい傾向かもしれない。一方、ヒルサイドテラスの裏にある屋敷を際立たせるため、駐車場に四角い大きな枠(額縁)を設けた松本明子+鈴木将記の《A邸~都市の記憶~》は、プランの段階では感心したものの実際にはそれほど効果的でなかったのが惜しい。さて、いま挙げた四つのプランはどれも四角を基本としていることに気づいた。四角いマンガ雑誌、四角いガラス窓、四角い枠……。そう思って残りの作品を見直してみると、やはり四角(ボックス、道しるべ)もしくは円(ボール、自転車)を基本としていることが判明。単なる偶然だろうけど、この幾何学偏重は興味深い。

2011/10/14(金)(村田真)

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