2017年12月15日号
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artscapeレビュー

榎忠展──美術館を野生化する

2011年11月15日号

会期:2011/10/12~2011/11/27

兵庫県立美術館[兵庫県]

そして、そしてそしてそして神戸。まずはエノチュー展の開かれている兵庫県美へ。港を望むこの地にはかつて製鉄所があったというから、エノチューが鉄の匂いを嗅ぎつけてきたのか、磁石のように引きつけられてきたのか、いずれにせよ鉄、鉄、鉄の展覧会。アメリカ製のコルトとロシア製のカラシニコフを型どりした鉄塊がずらりと並ぶ通路を進んで展示室に入ると、工作機械の部品で組み立てた巨大な大砲が5、6点鎮座している。かっこうだけの大砲もどき、と思ったらちゃんと撃てるやつもあるというから驚く。裁断機にかけられた鉄片に油を塗った《ギロチンジャー1250》は、色つやといい肌触りといい陶器のようだし、部分的にカットされた巨大な鋼管《テスト・ピース》はまるで原口典之の彫刻だ。最後は旋盤で機械部品を削って塔のように何百本も林立させた《RPM-1200》。このインスタレーションはこれまで見たなかでは最大規模で圧巻。……なのだが、見終えてやや食傷気味になる一方で、なにかもの足りなさを感じてしまうのも事実。それは、彼の作品の大半が工場で偶然にできた形態か、さもなければ大砲のように廃材を組み合わせて別のかたちにしたものだからかもしれない。いってみれば、鉄だけにハードばかりでソフトが伝わってこないというか。おそらく鉄以外のパフォーマンスも含めた彼の全体像を見れば、また違った印象を受けただろう。

2011/10/21(金)(村田真)

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