2017年12月15日号
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artscapeレビュー

神戸ビエンナーレ2011

2011年11月15日号

会期:2011/10/01~2011/11/23

神戸ハーバーランド[兵庫県]

県立美術館からビエンナーレ会場へ行くには、船でハーバーランド方面に行く方法と、バスでポートアイランドのしおさい公園に行く方法があるが、受付でたずねると今日は船が欠航しているというので仕方なくバス乗り場へ。ところが港のほうから「船が出ますよお」との声がするので聞いてみたら、欠航なんかしてないという。いったいどうなってんだ? こうしたチグハグさがどうやら局所的なものではなく、先に感じた「便乗感」とともに神戸ビエンナーレ全体をおおっているらしいのだ。
 ともあれガラすきの船に乗って港に着き、モザイク、キャナルガーデンといった商業施設を抜けてメイン会場のファミリオへ。前回までメリケンパークにコンテナを並べてそのなかで作品を見せていたが、今回はビルのなかでやっている。なぜそうなったのか知らないが、邪推すれば、こうした商業施設を観客に歩かせることで金が落ち、地域振興に少しでも役立つと考えたからではないか。いわば便乗商法。おかしいのは、コンテナのなかに作品を展示するというのが神戸ビエンナーレのウリになっているせいか、今回も「アートインコンテナ国際展」というコンペを続行しているのだが、実際にはビルのなかにコンテナは持ち込めないので、わざわざコンテナ状のブースをつくり、そのなかに作品を展示していること。そもそもコンテナを使ったのは、神戸(港)を象徴するものであり、展示に適したスペースであることのほかに、屋外で展示するときの作品保護の方策ではなかったか。だから屋内では必要ないはずなのにコンテナにこだわる(しかも実際にはコンテナではない)からチグハグなことになるのだ。
 展示内容に関しても、コンペの「アートインコンテナ」はいいとして、なんでいけばなや書道や陶芸が入っているのか。これこそ便乗感とチグハグ感の最たるもの。ビエンナーレとはいってみれば最先端のアートを扱う専門店のはず。そこに行けば必ず質の高い最先端のアートに出会えるから貴重なのだ。ところがここでは市民の幅広い要望に応えようとなんでも詰め込んだ結果、コンビニに成り下がっている。そんなところに市民以外だれが行く? と思わずケンカを売ってしまったが、「アートインコンテナ」のなかにはいくつか興味深い作品もあった。ひとつは、このブースを本物のコンテナに見立て、エレベーターに乗って神戸港や宇宙空間にトリップするというメディアアートワークスによる映像作品。これはよくできている。もう少し精度を上げればテーマパークでも使えそう。もうひとつは、観客が入ると機械仕掛けのガラクタが狂ったようにうなり出す宇吹新のインスタレーション。前者とは反対のローテクアートで、夜店のような妖しさが漂う。

2011/10/21(金)(村田真)

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