毎月1日、15日号発行の美術館・アート情報をお伝えするWebマガジン(次回4月3日更新予定)

artscapeレビュー

森永のお菓子箱──エンゼルからの贈り物

2011年12月01日号

twitterでつぶやく

会期:2011/011/03~2012/01/09

たばこと塩の博物館4階特別展示室[東京都]

商品パッケージを中心に、広告、ポスター、CMなどの企業史料を通じて森永のお菓子づくりの歴史をたどる展覧会。1899年に創業した森永製菓は、1954(昭和29)年に『森永五十五年史』を刊行していおり、その編纂の折に収集された社内資料を保存管理する史料展示室を1955年に開設している。以来、製品パッケージ、パンフレット、販促物、社内報など、企業文化を伝えるさまざまな史料の収集、保存、アーカイブ化を進めているという。1999年には『森永製菓100年史』を刊行し、また自社のウェブサイト「森永ミュージアム」においても、史料の一部を公開している。ただし、史料展示室は外部には公開されておらず、史料の実物が一般の人々の目に触れる機会は少ない。もちろん、このような状況は森永製菓に限られたことではなく、私たちの生活文化を創り上げてきた多くの企業の史料が、たとえ収集、保存されていたとしても、人々の目に触れないままになっている。今回の企画は、企業博物館のひとつである「たばこと塩の博物館」が森永製菓と共同し、モノを通じて企業の文化と歴史を振りかえる優れた試みである。
 展示は、森永製菓のあゆみ、ビスケットやチョコレート、キャラメルなどの代表的な商品の移り変わり、戦後のさまざまなお菓子と、ポスターやCMから構成されている。森永製菓の企業と商品の歴史については先に挙げた二つの社史が充実しており、また創業者・森永太一郎と松崎半三郎については伝記も刊行されており、「歴史をたどる」という意味では展示にはややもの足りないものを感じる。しかしそれでも実物を見る意義は大きい。写真で見るポスターやパッケージでは、スケール感や質感が十分に伝わらないからだ。歴代のおもちゃのかんづめの展示や、TVCMの上映もあり、年代を問わず楽しめる展覧会に仕上がっている点もよい。図録巻末の「森永製菓の企業史料保存と公開──史料室今昔」には森永製菓における企業史料保存管理の取り組みが記されており、これも一読されたい。[新川徳彦]

2011/11/04(金)(SYNK)

▲ページの先頭へ

artscapeレビュー /relation/e_00015232.json l 10016642

2011年12月01日号の
artscapeレビュー

  • RSS配信
  • RSS配信

2017年03月15日号