2017年12月15日号
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artscapeレビュー

チャールズ・ホーム『チャールズ・ホームの日本旅行記──日本美術愛好家の見た明治』

2011年12月01日号


出版社:彩流社
出版日:2011年4月
価格:3,150円、256頁


チャールズ・ホームは、一般的な知名度は高いとはいえないけれども、19世紀後期の英国および西欧におけるジャポニスムに寄与し、日本の美術・工芸を広く知らしめた立役者である。彼は、19世紀末に大きな影響力をもった美術雑誌『ステューディオ』の創刊者であっただけでなく、日本美術・工芸品の輸入業を営んだ経歴をもち、ロンドンの日本協会の創設メンバーでもあった。さらに、一時は、ウィリアム・モリスの旧居《レッド・ハウス》に住んでいた人物でもある。本書は、ホームが1889年に、アーサー・L・リバティ(リバティ百貨店の創設者)と妻エマ、画家アルフレッド・イーストと共に、日本を訪れた際の日記である。リバティ夫人の撮影した記録写真に加え、リバティによる解説文も収録されている。本書では、ホームの観察眼が如何なく発揮された闊達な文章のみならず、彼の人的交流の多彩さが魅力となっている。登場するのは、建築家ジョサイア・コンドル、東京美術学校の創設者アーネスト・フェノロサ、商人トーマス・グラヴァー、著述家としても活躍したフランク・ブリンクリー大佐、日本側では佐野常民、大隈重信ら政府高官、美術商の林忠正、等々。明治日本の近代化に影響力をもち、尽力した主要人物たちと交遊している。ホームの諸活動は、同時代に来日した日本研究家たち──例えばクリストファー・ドレッサー、エドワード・モース、ウィリアム・アンダーソン、フェノロサなど──の著述・旅・日本品コレクションの様相と並行して考え合わせれば興味深い。ホーム資料の今後ますますの調査解明が期待される。[竹内有子]

2011/11/19(日)(SYNK)

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