artscapeレビュー

日常/ワケあり

2011年12月15日号

会期:2011/10/18~2011/11/19

神奈川県民ホールギャラリー[神奈川県]

江口悟、田口一枝、播磨みどりの3人のインスタレーション展。いずれもニューヨークで活動する30代のアーティストだが、ぼくはひとりも知らなかった。江口は机や椅子、棚、柱、バッグといった日常品を並べたインスタレーション、と思ったら、これがすべて着彩したハリボテ。たしかフィッシュリ&ヴァイスにも似たような作品があったなあと思って隣の部屋に行くと、前の部屋と瓜二つの机や椅子が配置を変えて並んでいるのでメマイがしそう。田口はプラスチックフィルムをさまざまなかたちに曲げ、そこに照明を当て光を乱舞させる作品、播磨は紙で馬や犬や鳥をつくり表面にその写真を貼りつけたり、大きな家のモデルに光を当てて幻想的な情景を生み出している。3人それぞれやりたいことは異なるが、作品の印象はどこか共通したものがある。それはハリボテ感が強く、実体感が希薄なこと。だから見ていてなにかずっしりとした手ごたえのようなものが感じられないのだ。これは9.11以降のニューヨークの傾向なのか、それとも30代の日本人アーティストの特徴なのか。

2011/11/12(土)(村田真)

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