artscapeレビュー

ドロップ・ミー!

2011年12月15日号

会期:2011/11/17~2011/11/23

似て非ワークス[神奈川県]

多摩美芸術学科展覧会設計ゼミによる企画展。横浜の若葉町にある銀行跡の建物を会場に、岩井優、中島崇、松延総司、山本聖子らが作品を出品。出品といってもできた作品を出すのではなく、この場で作品をつくっているという感じ。中島は1階吹き抜け空間に色紙を切ったりつなげたりしたインスタレーションを発表し、岩井は若葉町で踊りながら掃除をする(または掃除をしながら踊る)人々の映像を流し、山本は若葉町で集めた不動産広告の間取り図を切り抜いて再構成している。いずれの作品もこの街とどこかで接続しているのがうれしい。問題作は松延の《私の石》。手づくりの石っころ3,000個が若葉町のどこかに置かれているというのだ。ぼくは見てないけど(いや見たかもしれない)、その石がどこかにあるというだけで十分だ。その石を見たところで単なる石にしか見えないし、むしろ本物そっくりの石が街のどこかに3,000個も置かれていると想像することのほうがよっぽど楽しいはずだから。

2011/11/22(火)(村田真)

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