2017年12月15日号
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artscapeレビュー

世界の絣

2012年01月15日号

会期:2011/10/14~2011/12/17

文化学園服飾博物館[東京都]

日本の絣を中心に、世界の絣の織物の文様と技法とを比較する展覧会。英文タイトルは「IKAT textiles from the world」。IKATとは「絣(かすり)」のことで、辞書によるともともとはマレー語で、しっかり結ぶという意味なのだという。日本語の「絣」は文様の境に生じる「かすれ」に由来する。斑に染め分けた糸を織り上げることで文様が浮かび上がる。現在は世界各地に見られるこの技法は、もともとインドを発祥の地として、内陸ルート、海用ルートを通じて5世紀に中国、6~7世紀にはインドネシア、そして10世紀には北アフリカに伝わったという。この技法が日本に伝わったのは7世紀であるが、広く普及したのは明治から昭和初期とされる。伝統的な技法という印象を受けていたが、その普及は意外にも新しい。技法的には経糸のみの縦絣、緯糸のみの緯絣、経糸緯糸ともに染め分けた糸を用いる縦緯絣とがあり、なかでも複雑な縦緯絣が行われているのは、日本とインドネシア、インドの一部のみだそうだ。捺染とは異なり、自在に文様を表すことはできないが、技術的な制約は独自の美を生み出す。そして類似の技術を用いながらもその美の方向性が地域によって異なっている様はたいへん興味深い。[新川徳彦]

2011/11/16(水)(SYNK)

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