2017年12月15日号
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artscapeレビュー

「京の小袖──デザインにみる日本のエレガンス」展

2012年01月15日号

会期:2011/10/29~2011/12/11

京都文化博物館[京都府]

「小袖」とは、現在の着物の原型。「小さい袖の衣服」を意味し、もうひとつには、袖口が小さいという「形状」を表わす。平安時代の上流階級の人々は、十二単の下に下着として、袖口が縫い詰められた小袖を着用したのだという。室町以降、小袖は「表着」として着られるようになる。本展は、桃山時代から江戸時代後期までの小袖を、松坂屋・丸紅・千總(ちそう)のコレクションを中心に展観したもの。前期・後期合わせて約180点の小袖が展示され、時代ごとのデザインの変遷を見ることができる。小袖の魅力のひとつは、文芸を題材に取るところにある。江戸時代の図案帳である「雛形本」を見れば、その流行ぶりがよくわかる。たとえば、一枚の着物のなかにある、春・御所車・鳥籠・飛ぶ一羽の雀という文様には、「源氏物語」のエピソードが表象されている。「物語」を身に纏い、愛でるとは、なんと優雅かつ粋なのであろうか。ジャポニスムが席巻した19世紀、そのような日本人の感性の発露としての染織品の意匠が、西洋の目利きから「ポエティック」と賞賛されたのも頷ける。日本の文様のうつくしさに圧倒され、さらに当時の人々にとってのファッションとしての小袖のありように感嘆した。[竹内有子]

2011/12/09(金)(SYNK)

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