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artscapeレビュー

日本の新進作家展 vol.10 写真の飛躍

2012年01月15日号

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会期:2011/12/10~2012/01/29

東京都写真美術館 2階展示室[東京都]

毎年開催されている東京都写真美術館での「日本の新進作家」展も、いつのまにか10回目を迎えていた。これまではどちらかといえば、すでに認知されている写真家の仕事の後追いの印象があったのだが、今回の展示ではそのあたりがかなりいい方向に動いてきている。添野和幸、西野壮平、北野謙、佐野陽一、春木麻衣子という顔ぶれを見ると、いま力を伸ばしつつある写真作家が順当に選ばれているように思える。北野、春木はそれぞれ個展を開催中でもある。「新進」というよりは「中堅」に近い人選だが、1968年生まれの添野、北野から、1982年生まれの西野までの世代の仕事は、まだ一般には広く知られていないので、タイミングのいい展覧会になっているのではないだろうか。今回のタイトルの意味はややわかりにくいが「フォトグラム、ピンホールカメラ、多重露光、露出といった、写真の根源的な手法や特性に着目しながら多彩な作品を制作」している作家を集めたということのようだ。たしかにデジタル化の進行とともに、逆に写真特有の手法にこだわる者も増えてきている。ノスタルジックな意味合いよりは、デジタル・メディアではむしろ表現不可能な領域が、まだまだたくさんあることが少しずつ見えてきているということだろう。さらに西野の緻密なフォト・コラージュや、北野の数十人の人物のポートレートを多重露光で重ね合わせていくプロセスなど、「手技」の部分が強調されている作品が多いのも今回の特徴だ。その、ある意味で手工芸的な作品の肌合いは、これから先の「日本写真」を特徴づけていく重要なファクターになっていきそうだ。

2011/12/14(水)(飯沢耕太郎)

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