artscapeレビュー

花塚愛 展

2012年02月01日号

会期:2012/01/07~2012/01/22

ギャラリー器館[京都府]

花塚愛は過剰装飾のデコラティブな陶器を制作する作家だ。作品は、紐作りで成形したボディに造形したピースを貼り重ねていく方法で制作されている。目玉、鱗、植物、縄目模様、蛙の卵のような粒々などで埋め尽くされ、カラフルに着色された表面からは、匂い立つようなエロティシズムや呪術的なパワーが感じられる。アール・ブリュットとの類似性を指摘する人もいるのではなかろうか。しかし、実物を見れば、彼女の作品とアール・ブリュットの違いは一目瞭然だ。装飾の造作は細部まで隙がなく、着色にも緻密な計算が感じられる。むしろ日本人特有の細密工芸への偏愛という観点から評価すべきかもしれない。

2012/01/10(火)(小吹隆文)

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