2019年03月15日号
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artscapeレビュー

第60回東京藝術大学卒業・修了作品展

2012年03月01日号

会期:2012/01/29~2012/02/03

東京藝術大学大学美術館ほか[東京都]

今年の東京芸大の卒展はなかなか秀作が多かったように思う。それは、作品の平均値が高かったからだとも言えるが、その一方で「つくる」ことと同時に「見せる」ことにも関心を払った学生が多かったからだ。寺木南の《純粋大衆芸術》は、人体がまぐあう性愛のシーンを描いた皿を壁面に展示した作品だが、一部の皿にプロジェクターで動画を投影するなどの工夫をして、食と性、生と死の問題を多面的に表現していた。豊永恭子の《地を愛でる》は、彫像作品だが、来場者に提灯を手渡し、暗い室内に置かれた彫像をその弱い明かりで照らし出して見せた。暗闇の中から浮かび上がる彫像はなんともエロティックだった。同じく彫刻の宮原嵩広は、階段の脇にあるデッドスペースを巧みに使用した作品で度肝を抜いた。狭い空間に入ると、コンクリートの壁面が円状に大きく凹んでいる。壁面全体をコンクリートで厚みを持たせ、その中央に凹部を設けたわけだ。なるほど、うまい具合に考えたものだと感心していたら、それだけではなかった。対照的な位置にある、もうひとつの階段脇の空間に入ると、そこにあったのは凸部のコンクリート。同じ要領で、対照的な場所に、凹凸をそれぞれ作りだした発想と技術が抜群にすばらしい。

2012/01/31(火)(福住廉)

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