artscapeレビュー

Mètis─戦う美術─

2012年05月01日号

会期:2012/04/07~2012/05/20

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

日常社会や常識などで、これまで当たり前だったはずの常識が大きく揺らいでいる現在、「私たちが生きてゆくために、どうすれば日々の営みを意義あるアクションに変えてゆくことができるのか」をテーマに、6組の作家(伊東宣明、中田有美、佐藤雅晴、高須健市、ヒョンギョン、Weast)が集った。タイトルやテーマからメッセージ色の濃い展覧会を予想したのだが、実態は極めてドキュメント的でパーソナル色の強いものだった。それは、各人が自分なりのやり方を日々実践することでしか世界は変わらないというメッセージなのであろうか。作品では、自分の胸に聴診器を当て、鼓動のリズムに合わせて肉塊を叩き続ける伊東宣明の作品と、内面に蓄積された負のエネルギーを暴発させたようなヒョンギョンの作品に共感。他の作品も見る者の感性に爪を立てるような挑戦的なものが多く、全体として気迫のこもった企画展だった。

2012/04/15(日)(小吹隆文)

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