artscapeレビュー

Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

2012年05月01日号

会期:2012/02/25

ヒューマントラストシネマ有楽町[東京都]

踊りとは、かくもすばらしく人間の感情の起伏を表現するものだったのか。ヴィム・ヴェンダースによるピナ・バウシュの映画を見て思い知ったのは、踊りで駆使される身体言語の豊かなボキャブラリーだった。言葉ではなく身体が、みずからの喜怒哀楽を雄弁に物語る。劇場はもちろん、街中や車内、自然、邸宅など、あらゆる場所で語られる踊りを見ていると、そこでは生きることのすべてが肯定されていると実感できる。これみよがしな3D映像が書割のように平面的に見えてしまうという逆説が気にならないわけではない。とはいえ、そのようなネガティヴすらポジティヴに反転させてしまうほど、彼らの身体言語は、力強く、はかなげで、鋭く、あたたかい。

2012/04/01(日)(福住廉)

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